太公望と聞仲の戦いは物悲しい

封神演義」という作品について、2018年ごろに20年越しに放送されたという情報があります。しかし、その放送では話が端折られたりしていたため、評判はあまり良くなかったようです。実際、『封神演義』は23巻もある大作であり、通常のアニメ制作では2年くらいのスパンを見ないと全てを放送するのは難しいでしょう。しかし封神演義のマンガ自体はとても面白い作品だと思います。

封神演義

中国の封神演義を題材にした藤崎竜の作品である。原作とは所々違う場面が存在する。(そもそも原作なんてwikipedia程度の内容しか知らないが・・・)
物語は、仙女の妲己によって堕落した殷王朝を打倒するため、太公望が冒険に旅立つというものです。しかし、宇宙人が登場したりと、壮大な展開があります。

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一番の見所:太公望と聞仲の戦い

主人公である太公望は軍師的な役割を担い、戦闘にはあまり直接関与しません。これは少年漫画としては珍しい主人公像です。魅力的な仲間たちを指揮し、相手を倒すための戦略を太公望が立案することが、「封神演義」の魅力と言えます。つまり首から下も使えるヤンウェンリーである。

太公望は軍師として活躍する一方で、ジャンプの主人公らしく要所要所で戦闘でも活躍します。中盤の見せ場となる聞仲との戦いは特に感動的です。

殷の太師、聞仲は恐るべき強さをもったキャラクターです。彼の殷の国に対する思いは強く、妲己によって堕落した殷の国をあきらめず、かつての幸せな国を取り戻すために聞仲は太公望の前に立ちはだかります。聞仲は非常に強く、という言葉では表せないくらい強く、太公望の仲間たちを次々に倒していきます。しかし彼も少なからず手傷を負っていきます。しかしそれでも止まらない聞仲でしたが、戦いの最中に聞仲の友人である武王が死んでしまうのです。彼は死に際に最後の言葉として「もう俺とお前の殷はなくなっちまったんだ…もうねぇんだよ…」と聞仲に語ります。この言葉により彼は気づくのです彼が取り戻したかった国は友と過ごしたかつての国だったと・・・この出来事により、聞仲を支えていた心の力は弱まっていきます。聞仲にとって殷と武王は非常に重要な存在であったことが理解できます。聞仲は、殷が立ち直れない状態にあることに気づいていたかもしれませんが、それでも彼にとって殷を守ることが生きる意味そのものであり、譲れないものだったのでしょう。他の人にそれが間違っていると言われても、聞仲は曲げられなかったのです。しかし、かつての友との思い出の国を取り戻そうとする彼の努力は、友の死と共に崩れ去り、太公望の前に敗れてしまいます。太公望も聞仲の気持ちを理解しているが、それでも自分の信念を信じて、また散っていった仲間たちのためにも聞仲と戦うのです。この場面は非常に感動的で、熱い場面です。妲己などは恐らく自分が悪ということを自覚して暗躍している節がありますが、それに対して聞仲は自分の信じる正義のために戦っているのです。それは太公望とて同じです。二人とも自分の正義を信じて戦っているのに勝者は一人、現実は残酷です。二つの正義が戦うからこそ感動的な場面が生まれるのだと思います。

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ちゃんとアニメ化してほしい

聞仲と太公望の戦い以外にも面白いシーンは色々とあります。『封神演義』は全23巻で、「鬼滅の刃」と同じ巻数です。『鬼滅の刃』ですら長い放送期間を要しているため、同じ巻数の『封神演義』を2クールで終わらせるのは難しいです。『封神演義』自体は非常に面白い話であり、ぜひ最初から最後まで端折らずアニメで放送してほしいと思います。